魔法の言葉

認知症の一番大きく取り上げられる症状は「物忘れ」でしょう?食べたこと忘れる。名前忘れる。家の場所忘れる。とにかく何でも忘れてしまう。でも…捨てられないこだわりは残っているし、嫌いなものはそのまま嫌いだったり。忘れないものだっていっぱいある。たとえば、お風呂が嫌いな人は 頑として「家で入るからここでは入らない」と説得と拒否の闘いになる。それが毎日続き一週間近くもなるとさすがに業を煮やして…引きずっていくことになる。お風呂に入らなくても直接は死なないけど、不潔やばい菌や感染や‥よくないことはおこり得る でしょ。ご飯だよと言っても部屋から出てこない人、ご飯を部屋に届けていてもずっと一人ぼっちで喋らなくて、長い長い一日で そんな毎日で良いの?持って行かないとリビングには来ない‥ってことは食べない‥これまた介護士との駆け引き闘いだ。ご飯は直接死ぬ。ずっと食べないとさすがに、ね。そして部屋にずっといたらお腹も空かんでしょ。そして、一番は多分「帰る。」こんなとこに何で来た?私、帰らせてもらいます。家族が待ってるし、ご飯の支度もあるし、大体あなた誰?ほっといてください‼!と出口を探す。ほぼ皆さん 全力で帰りたい。力の限り抵抗する。私たちの言ってることなんかなんも届かない。聞いてもない。言い合えば言い合うほど 不安が募る。泣きたくもなる。死にたくだってなる。捕虜みたいな気持ち。なんでみんなで通せんぼするの?誰のことも知らんのになんで私がこんな目にあうの?ってね。気持ちわかる。逃げられない感‥辛くて苦しい。

私の魔法の言葉は『お待たせ‼‼‼‼ごめんね、待った?』。

この言葉は過去とつながる。できればオーバーアクションでその方の元へ全速力で走って行って息を切らせ「待たせたね」と言ってほしい。大体全員が「そんなに待ってへんよ。急いで走って来んでいいのに。」と言ってくれる。爺婆様方は本当に思いやりが深い、情が厚い。「待たせてごめん」と言っている私はずっと知ってるかわいい?子なんだよ。誰かわからなくても「誰?」なんて大体言わない。自分のために手を合わせて謝って待たせたって言ってる子を信じてくれる。嘘だけど嘘じゃない。私は心を許してくれたその方を力いっぱい抱きしめてお風呂に、食事に、お部屋に誘う。「お風呂遅なって‥ほんまにごめんな。気持ち悪いのにな、嫌いなお風呂に誘ってくれたのに気の利かんことでご免やで」「お腹空いたやろ、私と一緒に食べるて言うてくれて嬉しいねん、ほんとやで。行こ!隣に座らしてな。な!」「せっかく一緒に寝ようっていってくれたのになぁ、私遅いやろ、すること。ごめんな。明日は帰って来はるんやろ、娘さん、今日だけ私でご免やで」‥‥嘘だけど嘘じゃない。そうしているうちにこの場所も自分の居場所になるんよ。

私は嘘つきだ。と思う?そうだけど、そうじゃない。笑

私の『お待たせ‼‼‼‼ごめんね、待った?』は全力疾走の愛に溢れてんの。

みんなもね、不安で悲しくて辛くてどうしていいかわからない時の「魔法の言葉」あったら教えて。私にも貸して。

(母の日に娘さんから送られた紫陽花。雨の季節に咲く紫陽花はお水がいっぱい必要です。一日も長く咲かせる所存です)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

前の記事

関節リウマチⅡ

次の記事

頑張ってる人へ「ガンバレ」