トイレットペーパー

めいの家には介護度1の方から5の方までが生活している。
複雑な動作にお手伝いが必要な方から生活すべてにお手伝いなしには生きられない人たちまで様々だ。そして、身体や認知機能はどんどん低下していく。一時的に良くなって元気に何年か過ごせたりする方もいるから「絶対」に進行の一途をたどるとは言い難い。
でもね、スピードは全く違うけど‥進んでいくのが「老い」であり、認知症なんだよね。
昨日までできていたことができなくなる今日があるし、
昨日話していたことが全く出てこないこともある。
何にも悪い事じゃないけど、ついついごまかしてしまう。
相手に気づかれたくない気持ち、自分の老化を信じたくない気持ち。
しんどくない!元気ですよアピールを頑張っちゃう人と、
あちこち痛いって言いすぎて最終どこから始まったか、何を訴えてたんかわからんようになるパターンもある。
悟られたくない気持ちを守りつつ、プライドもしっかりと保ったまま‥となると忘れたことも伝えない方向になってしまう‥。どうしたもんか。

今、うちのグループホームで一番に困っていることはトイレットペーパーの消費量だ。めいの家には二階に八人三階に八人の方が入居されている。その中の6人がトイレットペーパーをこよなく愛している。1970年代のオイルショック、噂の発端は千里ニュータウンの大丸ピーコックから始まったらしいよ。「トイレットペーパーを作る機械の油が無くなるからトイレットペーパーが作れなくなるって‼‼‼って連日、スーパーには大行列ができた。…らしいよ。そこに子供の手を引いて並んだであろう皆さんは、トイレットペーパーに思い入れが強いんかなぁって、私は勝手に思ってる。‥‥話は戻って、とにかく皆さんトイレットペーパーを持って帰る。どんどん持って帰る。小さくきれいに畳んで箪笥に、枕の下に、押し入れの隅っこに、ポケットに…とにかく隠す。隠して忘れるからまた持って帰ってくる。トイレットペーパーはどんどん増えて「誰がこんなことしてんだ‼‼‼」とお怒りになる人まで現れる。一番の使用者は半日で3ロール。鼻もかむし、痰もぺっするし、手も拭くし、トイレの回数も多いし、一回の使用量もトイレの中の音だけでも「カラカラカラカラカラカラ…」身体中拭いてんのか?って思うくらい使う人や、きれいに芯抜いてぺちゃんこにして持ち帰る人や、小さなポケットティッシュみたいにして重ねて並べて畳んでビニール袋に入れてる人や…様々で。でもみんなトイレットペーパーファンなことに変わりはない。使い道?それもいろいろで。一位はおしっこちびったらいややからの安心のためのお股に挟む人。なんかあった時に拭いたり鼻かんだりするための取り置きやったり、ね。引き出し開けて、「あのさぁこれさぁ、持って帰らんでほしいねん。トイレットペーパーなくなるの早くて困ってんねん。頼む!」と言うとその反応も様々で 「誰が持って来たん!?」ってびっくりする人、「はいはーい。わかってまーす!」とおどける人、「私のやないの!何言うてんのよ!」と怒り出す人などなど。未だ解決策は見いだせず‥ご自分でトイレットペーパーをお買い求めになる方も数名はおられる。トイレットペーパーを持って帰らなあかん不安感も使い続ける事の満足感もどうにか別の何かに変えられないかと試みてはいるがライフワークとなっているこのトイレットペーパーと生きる感は切っても切れない関係にあるようにも見えちゃう。

できたら、こんなんどうかなぁっていう策があったらご教授いただきたいっす。通算五分に一回のトイレにかかる水道代、その度のトイレットペーパー代、引き出しに詰め込まれたトイレットペーパーの束代、何とももったいない‥が策がない‥辛 現状‥とほほ。

👆コレ、一日分です。

ちなみに、引き出しに入っているトイレットペーパーをトイレに置いて使うとか、鼻をかむ分に使うとか、再利用はないですよ。清潔かどうか 神のみぞ知る…でしょ。だからどうにか使えるのは コテツ、はなちゃん、コロちゃんの散歩に持ってってうんこを取る紙に使うくらいだな。

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