90歳の幕引き。
ここでちょっと一休み。大きな出来事!!!
「めいの家」を始めた年の10月1日、開所して二か月後に野田さんはやって来た。
その時は‥75歳。寿司も握るし、フグもさばく調理人だ。
初めて作ってくれたおすましに皆で大大感動したもんだ。料亭のような澄んだおだしにほのかに柚子が香る素敵な一品だった。これからずっとこの人のお料理が食べられるのかと嬉しくなった。
この野田さんのお料理も今月が最後なんだよね。
つい先日、野田さんに呼び止められ「もうね、体力がね。7月いっぱいで終わりにします。こんな歳まで使ってくれはって本当に・・」と言うとあとは涙で続かなかった。
いつかこんな日が来る。歳とって無念ながら辞める選択をする日がみんなやってくる。私だってやってくる。でも、私何も言えなかった。ただ、野田さんの腕をつかんで笑っていた。こういう時、何というのだろう。「おつかれさま」「ありがとう」とかだな、きっとね。どんな言葉にも表せない思い出が廻った。一緒に頑張って来た、と言うよりはずっと一緒にいてくれて、お腹いっぱいにしてくれて、幸せな気持ちとまたがんばろうって思える充実感を食に変えて見守ってもらったんだろうなあ。
本当に言い表せないさみしさが廻った。野田さんが90歳になっていつかこういう日が来ることは覚悟していたし、もっと早くに「お疲れ様」を言ってあげたほうが良いんじゃないかって思う事何度もあったけど、幕は自分の意志で引いてほしい気持ちの方が強かった。野田さんの幕引きは野田さんがする、とどっかで野田さんに預けていた。勝手な話だ。90歳まで働いてもらっておきながら・・まだ依存している、私は。
美味しいおすましと、みんなの前で握ってくれるお寿司と、おだしのきいた卵焼きとカラッとあがったてんぷらと、アッチッチの銀杏入った茶わん蒸しと、優しい味の筑前煮、ジャガイモのきんぴら・・15年と8か月食べ続けた野田さんのご飯は、どれもこれも名物だ。野田さんのご飯に支えられた「めいの家」なんだよね。めいの家のご飯は美味しい、ってみんなに言ってもらえるようになって、みんなめいに来たら太っちゃって。(笑)この歴史に野田さんがいたことを本当に本当にかけがえのないものと心に刻みたいと思います。さみしい、なんて言葉じゃ表せないし、おつかれさま、なんて言葉じゃ送れない。私はなんて声を掛けよう・・。
送別会をしようと思うんだけど何食べたい?・・と野田さんに聞いたら「魚、さばきます。自分で用意します。」と言う。根っから調理人だよね。自分の送別会に自分で振舞うらしい。野田さんらしい。
旬の魚をいっぱい買って、野田さんにごちそうしてもらおうとみんなも言うので、いつものように野田さんに作ってもらう事にしちゃった。
ずっと最初っからグループホームの家族会を引っ張ってきてくれた元会長や一話の芳子さんの娘さんからも「ワクチン終わってるから野田さんに会いに行っていいかな?」って連絡をもらった。愛されておられる!
90歳になって、仕事を続けていることももちろんすごい事だし、
90歳が自分の幕を自分の手で降ろす事にとにかく感動している。
私に「もうそろそろ・・」って野田さんは言わさなかった。
長きにわたり、本当にありがとうございました。
お腹いっぱいの幸せをいっぱいいただきました。
これからの野田さんの人生を全員で心から応援します。
そして、お寿司が食べたくなったら握りに来てね。
約束ね。
野田さん、ありがとうございました。外部評価で訪問してお昼にいただいたにぎり寿司と茶碗蒸しの味、しっかり覚えています。
白状しますが、野田さんのお料理が食べたくて、「めいのお家に行かせて」って志願したこともあるんです。
そうだったんですね!!きっと喜びます。伝えます。ずっと一緒にいるのが当たり前のようになっていて、退職が受け入れられないのは私の方です。さみしくなるとか・・ではなくなかなか野田さんがいない事が信じられない。時間かかりそうです。コメントありがとうございました!