後片付け

11月と　この1月にめいの家の「大物」が相次いで逝った。
この2人は殴るわ蹴るわ噛むわ引っ掻くわ…　ドアや椅子やトイレやエレベーターやあらゆるものを壊し倒した。そして。私たちも気を緩めたら殴られたし、目線を外したとたんに蹴り上げられた…と言うとめちゃくちゃひどい人みたいやね。笑　認知症が進み、自分の言葉で不満や意見を表せないから嫌なことや困ったこと、キツいことや辛いこと腹の立つことや悲しいこと　どんなことも暴力に訴えた。いっぱい喧嘩したし想像を絶する闘いの日々だった。けど、職員は誰も二人を嫌いじゃない。むしろ愛された二人だ。なんでなんだろう・・叩かれるし蹴とばされるしだよ。毎日闘いだよ‥でもね、その合間にね　面白くてかわいいことをいっぱいするんだわ。今、殴りかかってたかと思ったら、おやつのソフトクリームを半分くれたりね。泡だらけでお風呂からダッシュしてきて抱きついてくれたり、たまに笑う笑顔がめちゃくちゃ可愛かったりね。とにかく最高に可愛いい「大物」二人が逝っちゃって　2階も3階もフロアは静かになった。寂しさ倍増‼‼‼

その二人の部屋を片付けている。思い出に浸っている。「この服よく着てたよねぇ」「この上着自慢してたねぇ」「このメモ、一緒に書いたわ」「いっぱい残してるね、日記帳‥懐かしいねぇ。」読みふけってしまい何もかもに思い出話が飛び出して手を止めてしまって‥‥どうする？！ちっとも片付かないやん。

この二人が教えてくれたことは、暴力反対！笑　とかじゃないよ。愛される人って理屈じゃないなぁって。すがすがしいほど自己中心的で自分勝手で我が道を行くこの二人がうらやましかったのかもしれない。ご家族はきっと、ハラハラドキドキだったと思うけどね。

一緒におうどん食べに行った時ね、隣のおじさんのおうどんの器に自分のおうどんお箸でいっぱいすくって入れてあげちゃって、おじさんただただびっくりしてね。新しいおうどん買ってお返ししてただただ謝って。でも優しい気持ちなのかなって。一緒に映画見に行った時ね、よちよち歩きの子がいて婆様は喋れないんだけどなんかかわいいねぇって言ってるような朗らかな声出して勝手に手をつないじゃって、これまたお母さんはびっくりでしょ、ただただ謝ってね。でも優しい気持ちよね、大好きなのよ小さな子や犬や猫がかわいくて仕方ないの…そんなだから、嫌われなかったのね。二人の豪快な婆様を私たちは忘れられないだろうなぁってね。

何度見送っても慣れる事なんかない。毎回毎回その方との想い出がページをめくるように甦る。そして、その方がいないことに少しずつ慣れてってまた新しい出会いがあり日々は巡っていく。

お片付けしながら自分の心も整理する。お部屋に供えたカサブランカが全部咲いた。そろそろこの部屋のあなたとお別れやね。楽しかったよ、お二人さん。ありがとね。またね。