戦争体験
彩子が旅に出たので、つかの間の相談員を引き受けた。
土曜は私のレクの日だ!!何年振りかのレクは考えるだけで楽しい。
6月の第一弾は、「富士の山」の歌体操。
富士の山を歌いながら歌詞に会った動きを体操にする感じ。
大昔…30年以上前に先輩寮母(昔は介護士を寮母と言いましたん)がみんなと踊って歌ってた。
30年後、私も真似てやってみる。歌ってへとへとになった後のお昼ご飯は抜群にうまい!
でね、なんだか話が斜めに反れてね、戦時中の話になった。今日の利用者さんは昭和7年、9年、11年、19年生まれ・・・と続き戦争中に子供だった人がほとんどでね。その記憶は鮮明で凄惨だ。食べるもんがなくて野原に食べられる草を採りに行ったことや、夜中に防空壕に逃げ走ったこと、大根の葉まで食べたこと、お兄ちゃんが戦地に行って泣き崩れたけど万歳って言わなきゃいけなかったこと、その時の感情や体験は昨日のことのように伝わってくる。「こんなこと言っちゃいけないんだけど、夜中に飛んでくるB29は列をなして光ってきれいでね。それがいくつも燃えた爆弾落としていくのよ。こわいけどきれいでね、子供だからわからんながらにきれいだとは誰にも言えんかったわ。」「女で良かったぁ、戦争に行かんでいいんやって思ったことはあるよ」など隠してきた気持ちも教えてくれた。最後は「負けたけど日本はいい国」って言ってみんな泣いた。そのとき子供だった人たちがもう90歳を越えている。80歳にはもう戦争の記憶はない。
あと少し、もう体験者に話を聞ける時間はもう少し。今更ながらだけどちゃんと聞いてちゃんと私の心に刻もうと思う。焼夷弾が落ちた時に来ていた着物の柄まで覚えている彼女たちは…お昼ごはん何だったかは覚えてないの。
今も「空襲警報発令」というアナウンスと鐘の音が耳に残っていて夜中に起きることがあるらしい。
世界中が平和であってほしい。それに尽きるよね。