誰⁉️
認知症が進んできて、ご家族のことがわからなくなる。
「よくある話」なんだ。
皆覚悟してることなんだ、認知症の家族はね。
でも、いつかその日がやってくると思っていてもたまらん気持ちになる。
そばで見ていても、何十回その場に立ち会っても、「頼む!名前呼んで!」「お願い、わかってるって言って!」と訳の分からん辛い気持ちと意味のない願い事をしてしまう。
ご主人が来られて、娘の話やご自分のことを楽しそうに話されていた。最初はうんうん‥と聞いていたけど、すぐに立ち上がり廊下を歩きだした。顔見知りの職員の腕を握って「怖い」と言った。
「知らん人おる」と逃げた。
ご主人は振り返ることもなく帰って行かれた。
娘さんが来られて、孫の話やご近所さんのこと覚えてる?って手を握られて話されたら急に涙ぐんで部屋に帰ると立ち上がった。「誰?」と職員に聞いた。娘さんだよ、って言うと「そうかもしれないけど‥わからないし。帰りたい。」と泣いた。娘さんは仕方ないわと言い、笑顔が震えていた。
「何か食べたいものある?」「‥…。」「何か欲しいものある?」「‥…。」「今日はお天気だね」「‥…。」「私誰だかわかる?」「‥…。」言葉が出なくなってしまってご返事がなくなって‥ご家族の足は遠のいて行った。
行く道来る道、なんだけど辛い。一緒に人生を生きた家族が、大切な人が私をわからなくなる日が来る‥その瞬間を目の当たりにするってどんな気持ちか、想像を絶する。平気なはずなんかない。当たり前だ。
でもね、現実。忘れちゃった大切な家族と生きるしかない。「初めまして!」「これからよろしくね、また会いに来るね。」と新しい出会いを始めるしかない。できればそれを楽しんでほしい。楽しめるようになるといいと心から思う。それでも、一緒に笑えるはずだから‥‥と他人は簡単に言う。一旦、捨てて 新しい自分とやり直すにはとっても時間が必要。
あなたが私を忘れてしまっても私は全部覚えている。あなたの代わりに全部覚えてあなたを愛している。
そうありたい。

ゆっくり休んで、深呼吸です‼‼‼‼

