逝く人

何も食べなくなって一週間くらいたつかな。す~す~寝息を立てて健やかに眠っている。健やか?そうね、寝息がこっちまで眠くなるような穏やかな寝息でね。

モリさんはトコトコ歩いてめいの家にやって来た。歩きすぎてお家に帰れなくなってしまった。不安でご近所のインターホンを押して回って怒られもしたそうな・・。笑顔がかわいい小さいころんとした婆様で愛すべきフォルムだった。笑 なんせモリさんは人見知りで知らん人に囲まれると物も言わずご飯も食べない。だから、入院して何も食べずに死にかけたことさえある。無理やり息子さんが退院させてめいの家に帰ってきたら‥おせんべいに噛り付いたという逸話まである。

体が拘縮して車椅子になり喋らなくなってしまってからも人見知りは変わらなかった。病院に行くと息も止めちゃったりする‥命がけの人見知りだから。

息子さんのお嫁さんが病で亡くなって、お孫ちゃんたちのお世話を一手に引き受けてお孫ちゃんたちを立派に大人にしてくれたモリさんをみんな家族は大好き。大好きがめいの家の全員に伝わってくる。

今はもう何も食べん。大好きなプリンも一口ぐらい。でも、食べようとしてくれる。口を開けて私の差し出すspoonを待ってくれている。そして私の話を聞いてもらう。「朝起きれんのよ。そしたらね、うちの大きな犬が2匹もベッドの上に飛び乗って来て私の息の根を止めるのかって感じでさ、びっくりして飛び起きたよね。」ここでモリさんは「う~ん」と合いの手を入れてくれる。私は満足です、はい。話を聞いてくれているに決まってる。よく聞こえる耳だったから。

私たちはここから「いつもといっしょ」の毎日を続ける。モリさんが食べない‥以外はいつも通り。そして、ちょこちょこみんなが代わるがわるモリさんを訪ねて声かけて触って撫でて笑って「いつもどおり」の音と匂いの中で限りある命を辛い思いせずに全うしてくださいと祈る。祈り続けて笑って送る、その日まで。

今、みんな落ち着いている。深く息を吸い込んで覚悟をしたから。

毎日モリさんを心の隅に置いて、「いつもといっしょ」の毎日を過ごしている。

私は今から、ベリーとアサイーのスムージーを一緒に飲みに行く。スプーンで一口‥二口‥モリさんの飲みたいだけ。残りは私がいただきますから‼‼‼‼

Screenshot

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です