荻ママ。母の存在感 荻野喜代美
時々、生まれた時から介護の仕事してんのかなぁこのおばちゃんって思えるような大地の母みたいな人がいる。
荻ママとの出会いは、そういうお世話好きなおばちゃんがくれた。
介護支援専門員の資格持ってるけど、連れてこようか?とそのおばちゃんは言った。
私と同い年の荻ママは、小さくて控えめで介護支援専門員を自慢してもいなかった。私なんか役に立たない、わたしなんか、わたしなんか・・。
肘は痛いし、長年やってる割りには介護技術ないし、体力ないし、と謙遜してばかりでなかなか働く!って言ってくれない。
考えた末・・電話で週に3日くらいからちょっとやってみようかなぁって。よしっ!!!
ニコニコニコニコ静かにいてくれた。利用者とよく喋り、どんなことも小さいメモ用紙に必ずメモする。利用やの言ったことも、変化も全部書く。長い間この仕事をしてきて経験もあり資格もあり、でも何でも聞く。わからない事は若い子にも悪びれず聞く。ここ!私がこの人をすごいと思うところ!誰でも歳を重ね、経験もあって国家資格なんて持ってると昨日今日この世界に入った子の言う事なんか聞かない。ちょっと偉そうにしてみたりちょっと小ばかにしてみたりちょっと知ったかぶりしてみたりちょっと知らんと言えずドギマギしてみたりするもんだと思っている。荻ママは、経験のない若者にも、この子すごいわぁって褒めたりする。わからないことは「どうして?」「なんのこと?」「それ何?」と臆することなく純粋にわからない事は聞いてくる。いくつになってもカッコつけず分からないことは分からないと言える大人はカッコいい。このカッコよさは今も続いていて 出来ないことはできない、わからない事は分からない、知らない事は知らないと誰にでも言い今も学んでいる。めいの家で一緒に働いている間に荻ママの二人の娘さんはお嫁見行き、単身赴任の御主人は帰ってこられ、可愛いお孫さんが誕生した。荻ママの周りは変わった。その度、荻ママは皆に迷惑かけるとか役に立たないとか言って辞めようとする。またか!このやろう!!と思いつつ「待ってよー」って言い泣きの芝居がかった本気で止める。と、ほんとに純粋な人なので辞めるのを止めてくれる。(笑)いくつになってもカッコつけず自分にできる範囲でコツコツできることを力いっぱいする人、同じ年代としてこんなカッコいいおばちゃんいるだろうか?荻ママは ご家族にもめいの家にもいなくなると困るお母さんなんだ。