理念

「明日死んでもいい今日を創る」
…というめいの家の理念がある。

明日死んでも後悔しない今日だった？と自分に問う。皆の明日はわからない、もちろん私たちだってわからない。明日が来ることは当たり前じゃないしね。今めいにいる16人のレディたちは66歳から102歳。「おやすみぃ」「おやつの時間に起こしに行くよ」「頼むな、起こしてよ。」そのまま永久に眠りについたばあさまもいたし、「ちょっとトイレ行きたいの。あんた代わりに行って来てよ」「ん、じゃあ代わりに行ってくるよ。」って安心して逝っちゃった方も。いつものように「おやすみ」って「また明日ね」って・・さよならだってある。いつもと同じ寝相の悪いままね。私はその時にいつも　幸せないつもと同じ昨日だったかなって、思うのよ。だからって毎日が特別じゃ疲れちゃう。いつもと同じ毎日の中にある後悔しない私たちの信念が大事。いつでも私がいる時に逝きなさいよ。あなたを看取る覚悟は、出逢ったその日に出来てるから。と心の隅っこにいつもある。明日死んでもいい今日を創る‥とはそういうことなんだ。ただ、後悔しない看取りなんかない。あの時、この時、ああ言えば、こうすれば、そんな後悔は私の容量をはるかに越えて行く。でも看取らない選択などない。ないんだ。

何年か前、夜勤に最低限求めることは何か、夜勤だけするバイトさんたちにどこまで求めるのが施設としての方向性を示してくれ‥みたいな？。笑　詰められたことあって。めいってね、皆長く働いてるからってこともあるからかな、直下で指示がないっていうか、マニュアルもないし業務表とかもないしタイムスケジュールもないからね、自分で考えてより良い日常を作るのよね。でも、それぞれ大切にしてることはちがってたり、そりゃそうだ！でしょ。で、何を大切にするの？どこまで細かく教えるの？ってね、施設としての考えを聞かれたんだよね。

だから私「生きて朝を迎えるってことかな、みんな元気に朝を迎えてくれたらそれでいい。」って言ったの。そしたら、猛反発浴びちゃって‥何してもいいのか？それ言っちゃダメでしょ！本気で言ってる？うそでしょ！って。そして、「あ～そうなんだ、それならいいや、もういいや。」「なんやねんそれ！」って思った人もいたらしいわ。何年もたつ今でさえこの話になると「あれはない」と言われる。私としてはものすごい？？？？？？なんで？なんだけど。

その昔、夜勤はわたしのパラダイスだった。ウキウキした。さぁ、私の夜勤では絶対不眠のあのばあさまと何をしようか、じいさまは丑三つ時に今日も素麺湯がこうって来るだろうか？ってね。夜中に眠れない皆と焼き肉したり、ラーメン食べたり、怖い映画見て叫び合ったり、お餅ついたり一緒のベッドで花札したり‥でも朝　日勤さんが来る頃にはいつもの姿に戻しておく。そこ大事。夜勤は私流でいい。私のやりたいようにやる。もちろん安全にね。朝陽があがるとホッとした。今日もみんな生きている、いい夜だったってね。私の夜勤を告げ口するじいさまもばあさまのいなかった、ただ、匂いがね‥なかなか消えないのよ。すき焼きも焼肉も、魚焼いてもお餅焼いても何しても匂いでバレちゃう。話を戻すね。笑

無事に朝を　無事に夜を　迎えるまで　あなたの目の前の人にできることを自分で考えてちゃんとやりなさいよ、力いっぱい楽しんであなたの思う後悔しない今日を過ごすんだよって。それが私の「無事に朝を迎える」ということだ。「無事に夜を迎える」という事でもある。深っ！難しい事言ったつもりが簡単にダメだしされちゃってさ。長い事私と付き合ってんだからさ、考えろよ、バーカ！って思った。　　　　　

私はその意味を教えない。教えたくない。それぞれが考えて自分の今日を創りながら「共に育つ」みんなでいてほしいから。

マニュアルや業務表がある方が楽ちんだよね。誰にでも同じ事ができる。誰でも私になれる。マニュアル通りで一人前になれる。めいはなれないんだよね、私はあなたにはなれない。そこも大切。とても大切。

もし明日死んでしまっても、もし今日の今が最後でも、あなたに会えてよかったと、ここに一緒にいてよかったと、思える今日を過ごしなさい。

これが理念で信念なの。