今朝

今日の朝早くに103歳の心臓が止まった。
103年の生涯は、私達には想像もつかないほど過酷なものだったようで、13年間ずっと身の上話を聞いてきたので覚えてしまってる。
まず、子供の頃 親戚の家に預けられた。その親戚のおばちゃんは足が悪くてずっとお家のことは彼女がしてたらしい。水道もない時代で小さい女の子が井戸からカメに水を運ぶのは一番大変な仕事だったらしい。「水道がついたんや。その時が一番うれしかった。蛇口ひねったら水が出るんよ。井戸まで行かんでいいんや、もう水汲みせんでいいんや。って涙が出るほどうれしかったんやで。まぁあんたらにはわからんやろけどな。」とほくそ笑む。そして大きくなった彼女は「顔」で旦那を選んだ。世紀の男前だったらしいその大工さんだった旦那は働かん男で 案の定女遊びもお盛んだったらしい。結局家出して離婚‥。飲んだら「男は絶対に顔で選んだらあかん」が口癖。そしてそしてその後ピーナッツみたいな顔の優しい親切な大人しい男と出会う。「顔はピーナッツみたいやけどええ人やったんやで」と言い神戸の元町で亭主の顔にちなんで「ピーナッツ」というスナックを40年営む。お客さんに「人形みたいやなぁ」って言われてたって言うからさぞ可愛かったんか?と聞くと「いいや、ちがうがな。毎日毎日おんなじ着物着て店に立ってたからや。元旦以外は休みなしや。」「夜中に帰ったら娘がな、タオル持って玄関まで来るんよ。小さい娘待たして酒飲んでる私にな、可哀想でなぁ。」‥‥こんな話を延々としながらいいちこのお湯割りを飲み、タバコをくゆらす人でした。103歳でも自分でトイレ行って自分で食べて、あ痛たたたた!って言いながら自分で車いす漕いで部屋帰って寝てたし、自分で起きて来てた。ご飯は残すのにおやつはパクパク食べてニカッと笑っておかわり頂戴と手を出す。怒るに怒れない‥だって好きに生きていい103歳だよ。笑

眠ったまま逝ったその顔は、いつもの寝顔と一緒でね。いつもの挨拶‥「帰るんか?」「うん、また明日な。」「気ぃつけや」「うん バイバイ」くらいの感じで「またね」が言えた。

13年間、ありがとうございました。合掌

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