明るく生きる!木村明生というナース。
付き合いの長さは・・かれこれ13年くらい。救急医療にいた看護師さんたちが立ち上げた訪問看護ステーションからめいの家に週二回来てくれている。彼はのほほ~んとしていて、到底 救急にいたなんて思えない人だ。元気いっぱいにやってくるわけでもなく、沈んでいるわけでもない。いつも変わらないテンションで、でも言わなきゃいけない事はしっかりハッキリ迷わずに言う。どんな言いにくい事も平然と言う。これまで何度も何度もキム兄と難事件に挑んだけど、一回たりとも声を荒げたり困った顔をしたり諦めたりしたのを見たことはない。「今すぐ連れて帰ってきたい」と言った時も、「どうしてもここで死にたい」と言った時も「すぐに退院させたい」「薬を止めたい」「薬を飲みたい」・・いずれにしても本人の意思と、後はどれだけ楽ちんに笑って生きられるかってことを考えてくれる。めいの家がどうしたいか、それもよく知っていてくれる。困った時はだいたいいつも、いや必ずいつも一緒にいてくれる。お医者様がものすごく大切な事を忘れ去った時も、絶対に言ってはいけない事を言ってしまった時も、私が感情的になって暴れた時も、職員がどうしてもってお願いした時も、この表情は変わらない。・・どころか もしや・・もっと沈着冷静になっているような気がする。
ある年の忘年会。うちの忘年会は、食べて飲んだ後くじを引いて「今年の一番!」を発表する。そして毎年、幹事のぴいが心込めて選んでくれた今年の一番商品の数々の中から欲しいものを選ぶ。ん~グラファイトトースターやティファール取っ手のとれるお鍋や珪藻土バスマット、ももイチゴ、メロン、松坂牛ステーキ、ヒートテック毛布とか、食べきれないほどのチョコレートとか蟹や段ボールのお菓子詰め合わせもある。その席でキム兄の順番が来た。キム兄は「えっと・・離婚しました」って言って少し笑った。周りの皆のどよめきはすごくて、だって誰も知らなかったんだから・・。「えー!!!」「びっくりしたー!」「なんでー?」など記者会見みたいになった。3人の子供と4匹の犬 看護師の奥様・・だったかな。「別に今日まで内緒にしてたとかじゃなくて、離婚とか言うきっかけあります?でもまぁ、今年の一番なんで、はい」と少しだけ笑った。その年、由香も離婚したんだけど、キム兄離婚でびっくりしすぎて由香の離婚がかすんじゃったほどだ。その後もう3年経つけど一切変わらずキム兄はキム兄のまま・・そりゃそうか・・。めいの家にはなくてはならない人で、守り神のような存在だ。適切で大胆発言もあり でも、私たちを想ってくれている。ここに住む皆を想ってくれている。一緒に一番寄り添う答えを探してくれる。言葉にしたらこんなもんかって思うけど、他に思い当たらない。
ただ、感謝している。