匂
モリさんの部屋の匂いが変わってきて一日経った。どんな匂いかは形容できない。ただ、漠然と今までとは違う匂いに包まれる。私たちはもうすぐお別れだな、と悟る。あと一日か、二日か…そんな感じ。それも感じ。思い込みかもしれん、でも経験からくる感じ。二日前に匂いが変わった。{表現が適切でなかったら許してください}お別れが近いことはわかっていたけど、現実になりそうだなって。最後になるなら、何を飲もうか 身体を拭こうか 何を話そうか‥‥楽になるならもう頑張らんでいいという思いと、もう一回奇跡起こすんかなっていう思いと 交差し続ける。そんなことを考えあぐねている間に静かに眠ったまま‥お別れの時は来た。慌ただしく医者、看護師、家族さんが来られる前に私らなりのお別れをする。手足を真っすぐにして体の向きを固めていたものや包帯や胸にあてたタオルを全部取る。自由に どこへでも自由に飛んでいけるように。温かいモリさんの手を握って胸を撫でて昔話に花を咲かせさよならを言う。看護師さんが到着したら一緒に身体を拭いてお化粧する。一番モリさんらしいお洋服を着る。そして、ご家族と一緒にめいの家を出て行かれる。私らの仕事はここで終わる。さよなら‥で終わる。
また一人、めいの家を賑やかに彩ってくれた婆様が逝った。寂しくなります。合掌。

