高齢者の不思議

歳を取ると、若い時には思いもしなかった病と対峙する日が来る…って言っても私はまだ闘うところまではいってないから、わかってんだかわかってないんだか。ただ、不可思議なことが起こるんだなぁってことはいっぱいいっぱいある。たとえば、風が寒いからってベランダのドアを閉めようとした100歳、風で扉がフワッと開いちゃって思わず膝をついた。「あ‼痛ーい」って笑い泣き。大丈夫かなぁって心配したけど赤くもならず普通に生活すること5日。6日目に赤くはれ上がり膝のお皿が割れていた。普通の人なら、瞬間で腫れて熱出て痛くて痛くて動けないはずだ。そして、ギブスをしたがその曲がらないギブスの足で歩く!歩く!「どこ見てんのよー!」なんて意地悪言いながら人のおかず取りに行ったりする。 また、精神不安定で手あたり次第嚙んで叩いて蹴って触るもの投げて、精神科の病院に入院になりベッドに拘束されたこと3ヶ月。徐々に食べなくなり鼻から胃に通したチューブで栄養を摂るようになった70代女性。寝たまま体を起こさない生活が続き足がバレリーナみたいになった。これ「尖足」って言う。立てる足首の形じゃないの。ところが、徐々に食べるようになり今ではトコトコ自由に歩き回れるようになっている。人に意地悪言うことだってできる。また、心臓の雑音がすごくて脈もちゃんとトントンって打たない人がね「明日の朝心臓止まってても全然不思議じゃない」って先生に言われ続けて10年。今も雑音と共に生きている。もちろん彼女も意地悪言える。また、外傷性硬膜下血腫で、頭の中の血の塊を吸いだしてやってきた日に後ろ向きに転倒した。次の日も、又その次の日も転倒した。気を付けていてもそっと起きて物音立てずにそっとスリッパ履いて抜け出そうとしてすってんころりん転んじゃう。心配して心配して…「ほっといてって言ってんじゃないの。気持ち悪い人ね」と言い放ち続けて9年。今も意地悪トップ3に入る。

悪いお顔で職員の紙を引っ張る芳子さん
お尻が痛いと甘え雅矢のお膝で食事する芳子さん。雅矢を独り占め!
「書いて~」って顔を突き出しマジックを渡す。そして死んだふりしてる。
自分で書いたひげ。楽しくってしょうがない らしい。

でね、何が言いたいか分かった?キーワードは「意地悪!」。っていうかわが道を行く、強い意志と自由な生き方が病を克服する。大いに笑って大いに楽しんで、人に気ばっか使ってなくて自分を優先して生きる強い女が絶対に長生きする。しかも元気いっぱいに長生きする。そういう輩は、みんな気丈で少々の病なんかでビクっともしない。怖がらないし辛いと泣いたり嘆いたりしない。へっちゃらで「痛ったいわぁ、あっはっはっはっは」「なんで痛いんだ?」「なんてこった!」なんて言うけど笑ってる。転んだことも折れたことも忘れちゃう、その強さはすごい。もう歩けないかもって思っていてもスタスタ歩いちゃう人や、歩くことは忘れちゃって車いすになっても新聞紙丸めて前に座ってる人をポカスカ叩いたりする。どっちに転んでも心の強さがあればね、大丈夫!!

でも私、一人 今も思い出すと後悔の人がいる‥‥続く。

(ご家族の許可をもらってお顔を掲載しています)