長い間 終章

「長い間」で書かせていただいた彼女が旅立った。お昼寝しているままの静かなまま。

その日から私たちはとっても「暇」になった。彼女に作るとろんだ飲み物も、軟らかい刻んだご飯も、身体の圧を分散するため隙間を埋めていたバスタオルを敷きなおしたり、体を拭いたり‥もう何もしなくてよくなってしまった。彼女は愛されていたのだと改めて思い、彼女中心に一日が回っていたのかと思うほどの「暇」ができてしまって戸惑った。最後の数年は、ただ私たちが一方的に話し続け、彼女は眠ったふりをしてきっと聞いていたんだろうね。「しょうちゃん、おはよう!」みんな一日がそこから始まった。いまは、始まりがちょっとわからんよ、しょうちゃん。

彼女が固くなった手で握っていたわんこたち

また、これから新しい出会いがあって、彼女のことが「思い出」になっていく。息子さん夫婦に会えなくなることも寂しいこと。私たちの仕事の最後はそう。ちゃんとさよならすること。

…これでいいんだ。

息子さんが最後に「ほっとした気持ちもあるんだ」と言っておられた。私たちも同じ。寂しいや悲しいと一緒に穏やかな気持ちもある。私たちもそう思う。一緒でよかったって思う。

老いって結構しんどい。思うように動けん、忘れちゃう、皆において行かれてる感じとか仲間に入れん感じとか、頑張ってるつもりだけど‥ね。頑張れてない感じ。この前まで世話焼いて、面倒見てたつもりの子供たちから「さっきの同じ事聞いた!」とか「遅!」とか「もういいから座っとき」とか言われるようになって、なんか蚊帳の外って感じで寂しいし、でも思うように頭も体も動かんしねぇ。老いって結構キツい。その辛さが伝わってくる時がある。

大切にされても迷惑かけてるようで辛いし、邪険にされても寂しくて辛いしね。老いてなお生きるって大変。

老いを楽しむためのいろんな場所があるし、サービスもある。ちょっと勇気を出して飛び込んでみると景色が変わる。介護する方もされる方も我慢しないで、好きに生きる選択肢を広げてほしい。いつかお別れのその日に、お互いにいい出会いだった、人生だったと思いたいから、ね。

しょうちゃん、ご家族の皆様。楽しい7年間をありがとうございました。忘れません。

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