爪に火を灯す

「爪に火を灯す」とは?明かりを灯すためのろうそく代も惜しみ、爪の先を燃やして灯りにするほどつつましい生活を送る事やひどくケチなことを「爪に火を灯すように‥」と言うらしい。
一人の婆様が、爪に火を灯すように生きてきた。
1000円以上する服は「高い!」と言い、安い食材を求めてあちこちの市場に行って質素な暮らしを貫いた。お金をためることが楽しかった、けちんぼ生活が好きだったという説もあるが、今彼女が認知症になってお話ができないので本当のことはわからない。

また、株や土地をいっぱい持った婆様は贅沢を望まず 姪や甥、兄弟に残したがった。お金や土地を少しずつプレゼントして 残すから「最後まで面倒見てよね」という風にも見て取れた。

認知症の方は皆さん症状も違い、家族関係も違う‥当たり前だけど。だんだん自分で管理できなくなり近しい信頼できる近しい人が財産管理を行うようになる。そして、「爪に火を灯すように」慎ましい生活をして貯めてきた財産は人手に渡る。その人が何をしたかったか、どんなことのために耐え忍んで貯めたかは…もう誰にも分らない。

もちろん私たち職員の介入する場面ではない。利用料さえいただければそれでいいのだから、関係ない…っちゃない。

ただただ私の勝手な意見なので聞き流してくださって、あるいは反論してくださって、あんたに何がわかるのよって怒ってくださってもいい、でも納得いかない「お金」にまつわる諍いがそこにはある。例えば‥財産を預かった人の中にやたら細かくなる人がいる。割とたくさんいる。預かった時点でもう自分の物になる‥感じがする。必要なものや、ご本人が欲しがっているものも買わせてくれない家族もいる。その方の預貯金はその方が快適に暮らすために使うべきではないのかと弁護士さんに力になってほしいと訴えていったこともあるし、なぜ貯金を取り込んで、少しでも貯金を減らさないように頑張るのかわからない、おかしくないのか?と地域の包括支援センターに言いに行ったこともある。腹が立って、悔しくて、私は悩んだ‥。「爪に火を灯すように」一生懸命働き質素に暮らしてきた人生の最後が窮屈すぎる。贅沢な生活を とは思わんまでも、自分のお金を自分のために適切に使ってほしいと思う。それには成年後見人制度とかね、ちゃんと第三者に管理を頼んではどうかな。皆さんはぜひぜひ、判断力があるうちに任意後見人を自分で選んでおくといい。あれこれ自分で決められなくなった時、どうしてほしいか、自分らしい未来を自ら決めて託しておくと‥周りのお世話する人たちも清々しい。家族も気が楽だ、変に求めなくて済むし期待しなくて済む。お金は時として魔物だから。

叱られるかもしれないけど、遺産は 必ず当たる宝くじ みたいなもんでしょ。何の苦労もしてないけどその方が自分より先に亡くなったら戴いちゃうことができるんだもん。…あー!嫌味な言い方だな。すみませぬ・・。「いっぱいお世話したもん」とか「しんどかったわぁ、迷惑かけられっぱなし。」とかあるかもね。でも身内やん。預貯金があるから面倒見たん?ってことになるけどそう?

自分の物になったと思わせるような預け方をするから勘違いする。そうなの、相手は認知症だし判断できないのだから、という言い訳の元 もう絶対に後見人なんかつけてくれない。手放したくない預貯金になるんだから。そんな気持ちにさせないように自分の行く末は自分で決めることが大事!自分の後見人は他人で信頼できるであろう法律の専門家を選ぶ。ね、そしたら家族も変な期待をしなくて済むのだから!

私は、他人だけど。最も近くで日々を共にしている他人として、強く願う。最期まで自由にその人らしく、そしてその人の物は全て使い果たしていいという覚悟の元、そばにいてあげてほしいと強く強く願ってやみません。

お金は人を変える…まさに…

昔話だけど、その昔「娘が大学を卒業するまでは婆さんに生きててもらって学費払ってもらわんと困るんやから!生かしてよ、頼むよ!」と息子さんに手を握られて懇願されたことがある。逆に清々しいと今は思う。変な取ってつけたような理由付けしないで、ホントのこと言った!「婆様の年金必要です‼‼‼‼」ってはっきりね。その方とは今もしっかり付き合いがある。仲良し!そうね、はっきり言わないで、その人のためにとかなんとか屁理屈言うから、ね。お金残したいだけだなってこっちも思っちゃうやん。嫌な気持ちになるわけよ。この婆様のお金なのに!誰も言わないんなら私が!ってしゃしゃり出ようとしてしまう‥。私のお金でもないんだから黙っとけって話やね。わかってる!わかってるけど気分は悪い。宮﨑以知子的に許せん!ってことっす。

老後の資金は2000万円必要です、って少し前世間は賑わったけど、家で元気に生きる90歳と認知症になり、あるいはほかの後遺症の残る病と闘い施設で暮らす90歳ではかかる生活費も全く違くない?。余分にあるなら好きに使っちゃえ!今の日本は、お金そんなにたくさん残してなくても何とかしてくれるよ。介護保険制度も包括支援センターも私たちのような施設も ほっとかないからさ。声を上げてほしいだけ。「困ってるから!助けてほしいから!話を聞いてほしいから!」って、自分のことは自分で「助けて」って言おう。それだけ!

今日はちょっと意地悪文もありました。お気を悪くされた方には申し訳ございませんです。最後に私の大好きな大好きなミモザを一枚!皆様、ミモザの終わる季節です。街のあちこちに、黄色が風に揺らいできれいです。春が来たよって言ってます。

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