グループホームの「約束」
グループホーム、認知症対応型共同生活介護という入居施設は、認知症状があれば入居することができる。うちは、二階と三階に8部屋ずつのこじんまりしたご近所さんで暮らしている。お引越ししてこられたら自分の部屋の壁紙を選ぶ。自分の落ち着く部屋にして自分が使っていたものでいっぱいにして暮らし始める。ここは自宅。だからここで死ぬこともできる。うちに今まで居た方々は殆ど皆さんコロっと死にたいとおしゃった。コロッと・・というのはたぶん老衰で という意味で病気もせずに人生を全うして苦しまず、ある朝眠っているかと思ったら亡くなっていたというような感じだと思う。ピンピンコロリということだ。段々歳を取ってきて私にも少しわかる。家族や周りの人に迷惑かけたくないし、恥ずかしいし、悔しいし、辛いし、負の感情だらけになる。「早くお迎え来てくれないかなぁ」なんて言ってため息ついたりしてしまうんだろうな。けど、コロッと死ぬことはそんな簡単じゃない。何かをがんばったらできる事でもない。生きる事と同じくらい死ぬことも大変な事だ。思うようにはいかない。
だから、私はグループホームの明日に夢を託さない。今のことから忘れてしまう今日の今が全てなのだ。今日今食べたいものは今しかない。今日今行きたい所は、今行かないと振り返ったらもう記憶の中にはないのだから。「今」に全力を注ぐ。それを毎日続けて点が線となり笑って老いていける未来があると信じている。忘れる事なんてなんてことはないと思わせたい。代わりに覚えている私たちがいる。動きが鈍くなったってそんなことは笑い飛ばそうと言いたい。私たちが手を握っていくと毎日伝える。同じことを今日も明日もずっと伝える。だから、コロッと死ねなくても一緒にいるから安心して!と言い続けることがグループホームめいの家の「約束」です。
めいの家で死にたいと言ってくださるご家族とご本人に感謝しています。
私たちに 最後の瞬間まで一緒に居させてくださることに心の底から感謝します。
介護士冥利に尽きる!!ただ嬉しい。