かんたの命日
6月7日はかんたの命日です。そして宮﨑いずみの誕生日です。
かんたはぴいの誕生日の朝、息を引き取りました。三年前です。
長い三年だったような、昨日みたいに思い出せるような、不思議な感覚。
玄関先に座っているかんたは、お客さんが来るとちょっと鳴いて迎えて一緒にエレベーターに乗って連れて行っていたし、ソファの真ん中に陣取りばあちゃんたちに「カンタちょっと座らせてよ」とお尻を押されたり、夜中お部屋を見て回ってリビングに帰ってきたら私の横になっていたところにへそ天で寝ていたり…ね。もうなんていうか‥「主」だったんだよね。 仕事終わりに三階のベランダを駐車場から見上げると、見送ってくれている黒いシルエットが必ずいる。「また明日ね、かんたおやすみ~‼」ってみんな帰って行く。私は毎日 後ろ髪引かれながら 連れて帰りたいって思いながら帰っていた。 そんな日々を最近思い出す。見送ってくれる黒いシルエットが今またいる。コテツだ。ワンキャン大きな声で鳴いて叫んで送ってくれる。かんたと同じ場所で見送ってくれている。かんたのことを知っている101歳は何度「コテツだよ」って言っても「かんたおいで」「かんた、おまえはかわいいねぇ」「カンタが私の布団で寝とるんよ」と言い、認知症なんだけどかんたの記憶は色あせない。誰の名前も覚えないけど、かんたの名前は忘れない。
8キロの小さな体で、存在感は職員以上だ。コテツもきっと。そうこてつもきっとね、ここで可愛がってもらって覚えてもらってめいの家を居場所に生きていくんだろうと思う。
かんたと一緒に暮らした13年間はほんとにほんとに楽しかった。「そこにいたの?かんた」…振り返るとそこにいてコロコロと寝そべっていた。じいちゃんばあちゃんのお膝で、枕元で、足元で、膝元で、好きなだけ触らせてくれて一緒に歩いてくれてエレベーターを待ってエスコートしてくれて めいで出会うことが決まっていたような、そう!選ばれし子で、ね。
会いたいなぁ。
エレベーターが開いたら君がチャッ!チャッ!チャッ!って爪の音立てながらゆっくり歩いてくるような気がしてるよ。 「またー!一人でエレベーターに乗ったらダメよ、かんた!」って私たちはかんたを抱き上げる。
またね、かんた。そっちの世界のじいちゃんばあちゃんをよろしくね。