入院Ⅲ

こんなに入院の話が続くとは思っていなかった。
でも、人生初の体験はみんなに報告したくなる。
経皮的冠動脈造影について、ちょっと聞いてくださる？
まず、そうですそうです。終わったからこんなテンションです。
明らかに元気になりました。ほっとした。
朝8時半過ぎに看護師さんが持って来てくれた紙パンツと病衣に着替えて検査室のいっぱいあるB2階フロアへ。看護師さんが車いすを押して、帰りはこれねって言うからさ、「え！帰りは歩けないくらいしんどいの？意識ある？痛いの？」ってね、矢継ぎ早に質問攻めにして　最終痛いの？いやだあ痛いの？なんでみんな痛いっていうの？ってちょっとキレてね。ま、一番奥の奥のドアを入ったら看護師さんが「行きましょう」と手術室みたいな扉を開けた…。

中には手術台があって同じ服、同じ帽子、同じエプロン？、同じマスクの男女が15人くらいいて「こっちへ」とか「スリッパ脱いで」とか「頭こっち」とか…血圧計つけますね、心電図つけます冷たいですよ、右足血圧計時々圧迫します、とか、左手点滴チクッとします、とかいっぱいいっぺんに喋って、いっぱいくっつけて…ほとんどの人が去っていった。これぞ、プロのなせる業って思ってる暇なく、ってかあの空間の雰囲気にのまれ怖くてなんでも「はい」って言ってしまいそうな変な緊張感と疎外感と廃墟感。廃墟感って言葉あるかな、生活感なくアスファルトな感じ。私見ないで、機械見てる感じ、人がいない感じ。冷たくて感情を殺した感じ。だから淡々と救われた感じ。

そして、「これ局所麻酔です。チクッとします。」と同時にチクッとして、手首に何かがズン！と重痛い感覚があった。でも、痛いとかじゃない。ズンってねそれだけ。それからもう一回先生が、ちょっと痛いよ頑張ってって言ったけど「痛っ」くらいかな、自分で小指ドアにぶつけた時のほうがずっと痛いわ。カテーテルというものがどんなものかわからないけど上腕から肩を通っているのがわかる。今、何物かが私の身体の中を這った！みたいな初めての感覚だった。これまた、すげーって初体験。私はかなり短い検査で済んで20分くらいかなぁ。あわわ、あわわ　なってるうちに「終わったよー」って言われ、さっさと手術台から降りた。普通に歩けるし何なら走れるけど　ダメって言われて車いすで帰ってきた。右手首にはこんなものが。

右手は止血、左手は点滴、首から心電図。こんなこと初めて。結構　動きずらいよ。点滴台に右手を乗せて。圧迫されて紫色…一時間に一度看護師さんが圧を弱めてくれるん。記念に欲しい器具だわ。怪我した時の圧迫用。で、私の全体像がこんな感じでございます。

ってことで、左右の冠動脈に4か所ごみ溜まってることがわかり、狭窄している血管を広げる手術を何回かすることになりました。今回同様、手首の動脈からカテーテルっていうものを通して、えっとステントというストローみたいなもので細くなってる血管を修復するんだって。神‼！お腹切らずにすごいことできるんやね。時代が違ったら私、心臓開いてた？死んでた？　そのごみがね、血管の中で袋に入ってるらしいのよ。その袋がなんかの力で破裂したら血腫になって　心筋梗塞とか、脳梗塞とか？だって。入院に必要なものもわかったし、ご飯の味もわかった！大丈夫。やれる！

私、こんなに生きてきたのに、まだまだ知らんことだらけ。病気なんかなんも知らん。みんな一生懸命　自分の身体と向きあって生きてるよね、病院って。私もちゃんとしよって思う二泊三日の入院旅でした。ちょっと痛い、ゾワッとするソロ旅だった。考える時間や自分の時間がいっぱいあって良き時の流れでね。ありがたい贅沢な時間、個室選んで大正解。高いけど、替えられない至福があった。病気の癖に何ゆうてんねん‥やけど。治る病気ならあきらめることはなんもないやん。やれる！

みなさま、私事に付き合っていただきありがとうございました。来週からまた「めいの家」一員に戻ります。どうぞよろしくおねがいします。これで、入院シリーズ　終了です。